【銃口下巻 命 二】
船橋三浦綾子読書会は毎月一章ずつ、銃口を読み、感想
を語り合っています。
先日は銃口下巻 命 二を取り上げました。
数頁の中にもたいせつな言葉との出会いが与えられます。
この「命」二では、「人間と人間の約束」「恥」
「命」「神は創造者」のことが書かれている文に心が動かされ
ました。
竜太はまじまじと山田曹長を見つめた。曹長は言葉を継いで、
「それにな、おれは捕虜になることをそれほど恥ずかしいことだとは
思わない。戦うだけ戦って、生き残ったから捕らえられただけだ」
「はずかしくないのでありますか」
「北森上等兵、おれはね、恥というのは、捕虜になることなどでは
ないと思う。人間として自分に不誠実なこと、人に不誠実なこと、
自分を裏切ること、人を裏切ること、強欲であること、特に自分を何か
偉い者のように思うこと、まあそんなことぐらいかな」
山田曹長はさらりと言った。それは、今改めて考えたという言い方では
なく、とうに身についているような言い方だった。
竜太は、自分はいったい何を恥として生きてきたことだろうと思った。
何か人の前で失敗をした時、人より自分が劣っていると思う時、うそが
ばれた時、あらぬ妄想を女性に対して抱いた時、そんな時のことがちら
ちらと胸に浮かんで消えた。山田曹長のように、自分が何か偉い者のよ
うに思うことが恥ずかしい、などとは考えたことがなかった。
よく日本は「恥の文化」と言われますが、ほんとの「恥」とは何か、
ですね。
次回の読書会は8月5日です。あなたも参加してみませんか。(牧師)
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